君と旅をした、夢のような時間

田舎のオタクが長文を書く場所

「こんな夜更けにバナナかよ」

※この記事には映画のネタバレがあります

 

顔を出すのが遅くなってすみません!今年もよろしくお願いします!

年末の御挨拶も、年始の御挨拶も忘れておりまして、なんと今年初記事がバナナの感想文になりました。こんなことになるとは思いませんでした。

と、言うのも、ポルノファンのわたしが、『主題歌がポルノだから観に行こう』となって観に行った映画でして、最初は観るつもりがなかったんです。K7Sで昨年思いっきり映画館に通って、バナナの予告も何回も観ました。予告の段階では鹿野さんのキャラが受け付けず、この映画は観ないな~と思ったくらいでしたが、後になってポルノさんが主題歌を担当することになって、えっ!?じゃあ行かなきゃ!となりました。自分でも変わりようにびっくりしました。

 

感想を端的に申すと、いい映画でした。こういったノンフィクションが原作の映画を、「面白い」と言っていいのか、と思うタイプなので、「面白い」とは個人的に言い難いので、いい映画でした。

障害を持っている人も健常者と同じように普通に生活したい、と思う。健常者と同じように普通に生活している。自分自身、わかっているようで、わかっていなかったと思いました。考えさせられる、考えが変わる、勉強になる作品でした。本当に観てよかった。鹿野さん、という人を知ることができてよかった。

 

原作を読んでいないので、どこまでがフィクションで、どこまでがノンフィクションなのか、細かいところはわかりませんが、鹿野さんはすごいと思いました。ご自身の病気をどのくらい理解し、どのくらい本気で英検と渡英の夢を抱いていたのかわかりませんが、普通なら病気になって夢を抱くどころではないと思うのに、強く生きていた。その生き様を尊敬します。

失礼な言い方になりますが、病気をされていても結婚できた、ということは、それだけ鹿野さんという人が、人柄が良かったから、鹿野さんという人が愛される人だったから、だと思います。奥さんとは離婚されてしまいましたが、奥さんがいなくても、鹿野さんにはボラという家族がたくさんいた。奥さんがいなくても、映画の鹿野さんはボラの人たちがいるから元気そうでした。

もしも奥さんと離婚することなく、奥さんが鹿野さんのことをずっと支えていたら……、という思いも少しありますが。

鹿野さんが亡くなった後も、鹿野さんのボラの方々は鹿野さんのお母さんやボラ同士繋がりがあることをパンフレットで知って、素敵な繋がりだと思いました。

鹿野さんからご両親に向けた愛、優しさも素敵でした。両親には両親の人生を歩いてほしい、迷惑かけたくない、ような感じだったと思いますが、その考えがすごい。新しい考えを勉強させてもらいました。わたしは、他人に迷惑をかけるよりは身内に、と思ってしまうので。

 

予告の段階では、大泉さん演じる鹿野さんがすごく我が儘に見えました。そういう製作の意図もあったと思いますが、映画を観た後は印象が変わります。

いろいろな場所でいろいろな人が言っていますが、鹿野さんの要望は我が儘のように聞こえるけど我が儘ではない。自分の身体の都合が悪くて自分にはできないことを、他人に頼んでいるだけ。自分だけではできないけど他人の力を借りればできることを、他人に頼んで叶えようとしているだけ。頼られた他人は、鹿野さんのために、鹿野さんの代わりに動くことで、鹿野さんの目標は達成される。

障害のある人がやりたいことをやるために、健常者が手を貸す。その手の必要性、心の優しさの重要さを訴える作品だと思います。

 

役者さん、とくに鹿野さん役の大泉さんは本当にすごいと思いました。今まであまり役者として見ていなかったんですが、立派な役者さんでした。よく勉強して、よく表現されたと思います。感動しました。大泉さんが鹿野さんでよかった。大泉さんを通して、鹿野さんを知ることができてよかった。

 

ところどころ泣き所があり、涙しました。いろいろとつらいシーンがありました。

わたしが一番泣いたのは、鹿野さんが病院に運ばれて医療機器と繋がれているシーンだったんですが、昨年亡くなった祖父が運ばれたICUのことを思い出して、リンクして、個人的にすごくつらかったです。

普段、ケロッと生活しているけど、色褪せたわけじゃないんだな、と。しばらく医療ものは避けなければ、と思いました。

 

まだまだまだまだ言いたいことはあるといえばあるんですが、収拾がつかなくなるのでこのくらいにしておきます。

いい映画なので、一人でも多くの人に観てもらいたいです。一人でも多くの人が、鹿野さんという人のことを知りますように。

 

こんなにも素敵な映画だったのに、わたしの斜め前に上映中もお喋りするオバサンがいて、さすがに映画の邪魔になって二度注意しました。自宅でお友達と観ているわけではないんですよ。上映中はお静かに、というルールも守れないのなら、興味のない映画なら観ないでほしいです。